近年、高齢化社会での需要を見込み、高齢者が安心・快適に暮らせる施設やサービスが整った「シニア向け分譲マンション」の開発が全国的に広がっています。本記事では、シニア向け分譲マンションとはどんなマンションか解説するとともに、有料老人ホームとの違いや検討する際の注意点も解説するので、ぜひ購入の参考にしてください。
シニア向け分譲マンションとは
シニア向け分譲マンションとは、高齢者向けに設計・販売されるマンションです。マンションによっては「60歳以上に限る」といった入居の条件が設けられています。
間取りは、単身用や2人世帯用が多く、バリアフリー化され、キッチン・浴室・トイレが完備し、各部屋で生活空間が独立しています。
要支援・要介護認定を受けた方も入居可能ですが、基本的には自立した生活ができる方向けに、セカンドライフを楽しむ施設や設備、サービスを提供するマンションです。主にどんなサービスや施設(設備)があるのか、順にご紹介します。
安心・快適に過ごすためのサービスが受けられる
主なサービスの例としては、生活支援(食事サービスや家事サポートなど)や安否チェック、緊急時に救急車や医師を手配するサービスがあります。
フロントにスタッフが常駐していたり、病院と連携していたり、困ったときに頼れるサービスが充実しており、健康面に不安がある方も安心して過ごせるでしょう。
充実したセカンドライフを過ごせる施設がある
レストランやフィットネスジム、プールやカラオケ、レクリエーションルーム、図書館など、娯楽設備や施設が整っているマンションがほとんどです。入居者が外出できなくても、共有スペースで余暇やサークル活動、イベントを楽しめる施設が充実しています。
有料老人ホームとは何が違うの?
高齢者向けの住まいには有料老人ホームもありますが、シニア向け分譲マンションとどのような違いがあるのでしょうか。
契約する権利の形態が違う
シニア向け分譲マンションを購入すると「所有権」を得るのに対し、有料老人ホームとの契約では「利用権」を取得します。
所有権契約ではマンションの所有者となるため、購入時は住宅ローンを組め、資産として売却や相続、賃貸の利用ができます。管理規約の制限がない限りは部屋を自分好みにリフォームできますし、自由に出入り可能です。
一方、利用権契約の場合は、あくまで利用者の立場にあるので、資産としての運用も住宅ローンの利用もできませんし、面会時間など施設のスケジュールを守る必要があります。
受けられるサービスが違う
シニア向け分譲マンションで受けられるサービスは、生活を支援したり、困ったときにサポートしてくれたりするものが主で、介護サービスはありません。
対して有料老人ホームでは、食事や入浴、排せつなどの身体介護を受けられたり(介護付き老人ホームのみ)、生活支援や食事サービスが受けられたりと、入居者の状態に応じて選択可能です。
購入を検討する際の注意点
購入を検討する際は、提供されるサービスなどが自分の生活に必要かどうか確認することが大切です。シニア向け分譲マンションの魅力だけに目を向けるのではなく、デメリットにも注意しましょう。デメリットを1つずつ解説していきます。
初期費用・管理費等が高めである
シニア向け分譲マンションは、高齢者が住みやすい立地であったり、充実したサービス・施設が提供されていたりするため、通常の分譲マンションよりも費用が高い傾向があります。
物件の購入費用(初期費用)は数千万〜数億円が相場で、居住費や食費、修繕積立金など月額利用料は10万〜30万円ほどが目安です。また、上記の費用以外にも固定資産税の負担もあります。
資産として将来的に売却しにくい
シニア向け分譲マンションは資産として売却や賃貸に出せますが、まだ物件数が少なく、将来的な資産価値をつかみにくい状況です。
加えて、初期費用が高額であったり、入居の年齢制限があったりするので、購入希望者も富裕な高齢者が対象となり販売のターゲットは絞られます。現時点では、希望の金額で売れるかが測りにくく、将来的に売却しづらい可能性もあります。
要介護状態になった場合に住みづらい
シニア向け分譲マンションに介護サービスはありません。また、基本的には独立した生活空間であるため、認知症や要介護度などが重症化した場合は、外部業者のサービスを受けても住み続けることは困難でしょう。
継続が難しい場合は、介護付き有料老人ホームなどへ住居を換える必要があります。
まとめ
本記事では、シニア向け分譲マンションの特徴と、有料老人ホームとの違い、購入を検討する際の注意点を解説しました。シニア向け分譲マンションは、高齢者が安心・快適に、楽しいセカンドライフを過ごすためのサービスや施設が充実しています。
有料老人ホームとは異なり、マンションの所有者になるので、資産として売却や相続したり、自分好みにリフォームしたりするのも可能です。
ただし、初期費用や管理費等は高めですし、介護サービスがないので、要介護状態になった場合に住みづらくなるデメリットがあります。検討の際は、サービスや施設内容が自分に合っているかを確認しましょう。