分譲マンションを購入するには、数か月〜1年ほどの時間がかかります。踏むべき段階の数も多く、どこから手をつけたらよいのか、最初は分からないと感じることも珍しくないでしょう。
今回は、分譲マンションを購入するまでの流れを解説していきます。
分譲マンションを購入するまでの流れ(購入前)
購入前は、金銭面の管理がとくに重要なポイントとなります。購入するマンションは予算を基準に選ぶこととなり、住宅ローンの事前審査も通過しておく必要があります。
予算の設定
最初に踏むべき手順は、予算の設定です。あらかじめ予算をしっかり設定しておくことで、購入する分譲マンションの選択肢が絞られ、予想以上の支出を抑えられます。
予算の設定は、無理のない範囲で設定することが大切です。現時点での年収はもちろん、マンション購入後の固定資産税や修繕積立金、退職や子どもの進学などのライフイベントなどを考慮し、収入と支出のバランスを重視しましょう。
住宅ローンを利用する場合は、完済できる見込みのある範囲で借入金額を設定しましょう。目安として、返済期間は20〜30年、毎月の手取り額の25%以下にするのが一般的です。
物件探し
予算を決めたあとは、実際に物件を探してみましょう。探し方としては、スマホやパソコンを使ったWebでの検索が主流です。Web上では、エリアや予算、間取りなどを希望の条件に設定したうえで検索できます。
とくに重要な条件は、エリアです。間取りや内装はリノベーションで改善できますが、エリアは引越しをしない限り変更ができないためです。
現在の生活状況に応じて、エリアを選択しましょう。たとえば、子育て中の家庭であれば、学校や病院、公園などが近くにある場所がおすすめです。
モデルルームの見学
気になるマンションが見つかったら、モデルルームの見学に行きましょう。一般的に、モデルルームの見学には事前予約が必要な点には注意が必要です。
見学当日には、受付でアンケートの記入を行います。アンケートには、名前や住所のほかに、家族構成や予算、希望している間取りなども記入します。細かく記入していると担当者から希望に沿った案内をしてもらえるため、なるべく具体的に各項目を記入しておくのがおすすめです。
モデルルームを見学する際は実際の暮らしをイメージしながら、部屋全体や収納スペースの広さ、水回りの使いやすさ、日当たりなどを重点的に確認します。
モデルルームの間取りと実際に住む際の間取りや設備が違う場合があるため、どの点が異なるのかを担当者に聞きておきましょう。また、モデルルームがある場所と実際にマンションが建つ場所が異なる場合もあるため、その場合は実際にマンションが建つ予定の場所まで足を運ぶことも大切です。
住宅ローンの事前審査
購入したいマンションが見つかったら、住宅ローンの事前審査の手続きへと進みましょう。住宅ローンは誰でも利用できるわけではなく、審査を通じて返済能力があると見込まれた人のみが利用できるものです。
審査に通らなければ住宅ローン自体の利用ができず、購入したいマンションも購入できなくなってしまいます。本審査に通らず、マンションが購入できなくなるという事態を防ぐためにも、借り入れできる見込みがあるのかを確認するために、事前審査を行っておきましょう。審査基準は各金融機関で異なるため、事前審査は複数の金融機関に依頼するのがおすすめです。
住宅ローンの審査では、職業や収入、ほかの借入状況などを申告します。事実と異なる点があると、本審査に通過できなくなる場合があるため、各項目は正確に申告しましょう。
分譲マンションを購入するまでの流れ(購入時)
実際に購入するマンションが決まったら、申込や契約へと進んでいきます。申込や契約時は提出すべき書類や支払う必要のある費用が発生している場合が多いため、事前準備を忘れずに行いましょう。
購入申込
購入する意思が固まったら、購入申込を行いましょう。購入申込には、先着と抽選の2種類あります。先着であればそのまま購入申込を行い、抽選の場合は登録期間中に登録し、抽選に通った人が購入申込ができるようになります。
購入申込の際には、2〜10万円ほどの申込証拠金を支払う場合がある点には注意しましょう。申込証拠金はマンションの購入費用や収入印紙代などに当てられるのが一般的であり、契約に至らない場合は返金となります。
申込証拠金は返金時に一定額の事務手数料が引かれたり、返金自体がされないなどのトラブルが発生する場合があります。そのため、申込証拠金を支払った際は日付や金額が記載された預り証を売主から受け取るようにしましょう。
重要事項の説明
購入申込のあとは、宅地建物取引士から重要事項の説明を聞き、売買契約を結びます。
まず重要事項とは、建物・土地の情報や欠陥に対する保証など、入居前に知っておくべきことについてを指します。入居後にトラブルにならないよう、説明をしっかり聞き、疑問点があれば積極的に質問しましょう。
売買契約
重要事項の説明を受けたあとは、売買契約へ移ります。一般的に、売買契約の際は買主が売主に手付金を支払います。金額の目安は、物件価格の5〜10%程度です。
また、売買契約の際は契約書の内容に誤りがないかをしっかり確認しましょう。とくに、ローン特約が内容に盛り込まれているかが重要です。ローン特約が盛り込まれていれば、住宅ローンの本審査に通らなかった場合は売買契約が無条件で解除となり、手付金が返金されます。
もしローン特約についての内容が契約書に盛り込まれておらず、住宅ローンの審査も通らなかった場合は、一般的に手付金の返金がない状態での契約解除となります。
住宅ローンの本審査
売買契約後は、住宅ローンの本審査を受けます。事前審査にはすでに通っており、転職や新たな借り入れがない場合は基本的には審査に通ります。
不動産会社と提携している金融機関のローンであれば、金融機関の担当者とマンション購入者が集まり、住宅ローン契約会が実施されるのが一般的です。一方、不動産会社と提携していない金融機関のローンであれば、実際に金融機関へ出向く必要があります。
分譲マンションを購入するまでの流れ(購入後)
購入後は、不動産会社や金融機関の担当者などとのやりとりがメインとなります。各担当者からの説明をよく聞いて、トラブルがないように手続きをひとつずつ進めましょう。
入居説明会・内覧会
入居説明会は、一般的に引き渡しの3〜6か月前に行われます。入居説明会では、入居後の管理についてや入居までのスケジュール、登記手続き、駐輪場・駐車場の抽選などを行います。マンションの購入にかかる費用や融資についても説明があるため、内容をしっかり把握しましょう。
内覧会では、建物の仕上がりや内装を確認します。具体的には、ドアの開け閉めや水漏れの有無など、設備に不具合がないかを重点的に確認しましょう。また、部屋や窓を採寸しておくと、家具やカーテンを購入する際に役立つため、メジャーやカメラを持参しておくことをおすすめします。
残金決済
残金決済とは、マンションの購入金額から申込証拠金や手付金などを差し引いた残りの金額を支払うことです。住宅ローンを利用する際に発生する銀行への手数料や不動産登記に関する費用なども、残金決済の際に支払います。
一般的には、購入者や不動産会社の担当者、金融機関の担当者、司法書士などが金融機関に集まり、住宅ローンの融資の実行や残金決済を行うのが一般的です。残金決済が完了すると、マンションへの引っ越しが可能となります。
この際、住宅ローンの借入金利が、購入前のシミュレーションと実際の返済額で異なる場合がある点に注意しましょう。なぜなら、住宅ローンの返済額を計算する際の金利は融資が実行されたときに確定し、金利はひと月ごとに見直される場合があるためです。住宅ローンの融資実行後、実際の金利を確認しましょう。
まとめ
今回は、分譲マンションを購入するまでの流れを解説しました。
購入前は金銭面を基準に物件を選定し、購入時は書類や事前に支払う必要のある費用が発生するため、事前準備がとくに重要です。購入後は、各担当者の説明をよく把握し、トラブルが起きないように手続きを進めていきましょう。
一から流れを追っていくと分かるように、実際にマンションを購入するまでには多くの段階を踏む必要があります。ひとつひとつの段階を着実に踏んでいきながら、よりよい暮らしを送れるように、理想の分譲マンションを手に入れましょう。